今日は第八回をやっていくで
◆
第八回 王司徒は巧みに連環の計を使い 董太師は大いに鳳儀亭を騒がす
さて?良が「今孫堅はすでに亡くなり、彼の子は皆幼くございます。彼らが虚弱な時に乗じ、速やかに進軍すれば、江東は一発の太鼓で得られます。
もし屍を返し戦いを止めれば、気力を養わせることになり、荊州の憂いとなります。」と言うと、
劉表は「黄祖が彼らの陣営にいるのに、どうして見捨てるのをしのべようか?」と言ったので、
?良は「無謀な黄祖一人を見捨てて江東を取るのが、どうして駄目なのですか?」と言うと、
劉表は「私と黄祖は心からの交わりをしているのに、見捨てれば不義となる。」と言い、
遂に桓楷を送って陣に帰し、孫堅の屍と黄祖を交換すると約束しました。
第八回 王司徒は巧みに連環の計を使い 董太師は大いに鳳儀亭を騒がす
さて?良が「今孫堅はすでに亡くなり、彼の子は皆幼くございます。彼らが虚弱な時に乗じ、速やかに進軍すれば、江東は一発の太鼓で得られます。
もし屍を返し戦いを止めれば、気力を養わせることになり、荊州の憂いとなります。」と言うと、
劉表は「黄祖が彼らの陣営にいるのに、どうして見捨てるのをしのべようか?」と言ったので、
?良は「無謀な黄祖一人を見捨てて江東を取るのが、どうして駄目なのですか?」と言うと、
劉表は「私と黄祖は心からの交わりをしているのに、見捨てれば不義となる。」と言い、
遂に桓楷を送って陣に帰し、孫堅の屍と黄祖を交換すると約束しました。
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劉表には黄祖が返還され、孫策は霊柩を迎え、戦いを止めて江東に帰り、父を曲阿の原に葬りました。
葬儀を終えると、軍を引き連れて江都に行き、賢者を招き勇士を集め、己を屈して人を待遇したので、
四方の豪傑は、だんだんと彼の元に身を投じましたがそれは詳しく話さないでおきます。
劉表には黄祖が返還され、孫策は霊柩を迎え、戦いを止めて江東に帰り、父を曲阿の原に葬りました。
葬儀を終えると、軍を引き連れて江都に行き、賢者を招き勇士を集め、己を屈して人を待遇したので、
四方の豪傑は、だんだんと彼の元に身を投じましたがそれは詳しく話さないでおきます。
◆
さて董卓は長安にいて、孫堅が死んだと聞くと、こうして
「私の心腹の憂いが一つ除かれた!」と言い、
「奴の子は年がいくつだ?」と問うと、
ある者が「十七?です。」と答えたので、
董卓は遂に意に介さなくなりました。
これ以降ますます横柄になり、自らを「尚父」と号し、出入りには天子の儀仗を使い、弟の董旻を左将軍、?侯に封じ、甥の董?を侍中とし、禁軍を総督させました。
董氏の宗族は、老幼を問わず、皆列侯に封じられました。
長安城から二百五十里離れた所に、別に?塢を、人夫二十五万人に築かせ、
その城郭の高さ厚さは長安と一様で、中の宮室や倉庫には、二十年分の糧食が積まれておりました。
民間の少年、美女八百人を選んでその中にいれました。
金や玉、彩りのある絹、珍しい珠が積まれてその数はわからないほどでした。
家族や眷属は皆この中に住みました。
董卓は長安を往来し、それはあるいは半月に一回、あるいは一月に一回で、公卿は皆横門の外で見送りました。
さて董卓は長安にいて、孫堅が死んだと聞くと、こうして
「私の心腹の憂いが一つ除かれた!」と言い、
「奴の子は年がいくつだ?」と問うと、
ある者が「十七?です。」と答えたので、
董卓は遂に意に介さなくなりました。
これ以降ますます横柄になり、自らを「尚父」と号し、出入りには天子の儀仗を使い、弟の董旻を左将軍、?侯に封じ、甥の董?を侍中とし、禁軍を総督させました。
董氏の宗族は、老幼を問わず、皆列侯に封じられました。
長安城から二百五十里離れた所に、別に?塢を、人夫二十五万人に築かせ、
その城郭の高さ厚さは長安と一様で、中の宮室や倉庫には、二十年分の糧食が積まれておりました。
民間の少年、美女八百人を選んでその中にいれました。
金や玉、彩りのある絹、珍しい珠が積まれてその数はわからないほどでした。
家族や眷属は皆この中に住みました。
董卓は長安を往来し、それはあるいは半月に一回、あるいは一月に一回で、公卿は皆横門の外で見送りました。
◆
董卓は常に帳を路に設け、公卿と共に集まって酒を飲みました。
ある日、董卓が横門を出ると、百官皆が見送りました。
董卓が留めて宴をすると、偶然北地で招安を受けた兵数百人が来ました。
董卓は即座に座の前で、あるいは彼らの手足を斬らせ、あるいは眼をえぐりだし、あるいは舌を裂き、あるいは大きな鍋で煮ました。
哀泣の声が天を震わせたので、百官は戦慄して箸を落としましたが、董卓は飲食や談笑をして自若としておりました。
またある日、董卓は省台で百官を大いに会させ、二行に並ばせました。
酒が数順巡ると、呂布が真っ直ぐと入って来て、董卓に数句もないことを耳打ちすると、
董卓は笑って「そうであったか。」と言い、呂布に司空の張温を宴席から引き摺り下ろさせました。百官は色を失いました。
董卓は常に帳を路に設け、公卿と共に集まって酒を飲みました。
ある日、董卓が横門を出ると、百官皆が見送りました。
董卓が留めて宴をすると、偶然北地で招安を受けた兵数百人が来ました。
董卓は即座に座の前で、あるいは彼らの手足を斬らせ、あるいは眼をえぐりだし、あるいは舌を裂き、あるいは大きな鍋で煮ました。
哀泣の声が天を震わせたので、百官は戦慄して箸を落としましたが、董卓は飲食や談笑をして自若としておりました。
またある日、董卓は省台で百官を大いに会させ、二行に並ばせました。
酒が数順巡ると、呂布が真っ直ぐと入って来て、董卓に数句もないことを耳打ちすると、
董卓は笑って「そうであったか。」と言い、呂布に司空の張温を宴席から引き摺り下ろさせました。百官は色を失いました。
◆
時間を経ずして、侍従が一つの紅い盆に、張温の頭を載せて持って来て献じました。
百官は魂が身体から抜けるようでした。
董卓が笑って「諸公は驚かなくともよい。張温は袁術と結託し、私を害そうと図った。
使者が持って来た書が、間違って我が子奉先の所に届いたので、こいつを斬ったのだ。公らには関係ないので、驚き恐れる必要はないぞ。」と言うと、
百官はそうですそうですと言ってから解散しました。
時間を経ずして、侍従が一つの紅い盆に、張温の頭を載せて持って来て献じました。
百官は魂が身体から抜けるようでした。
董卓が笑って「諸公は驚かなくともよい。張温は袁術と結託し、私を害そうと図った。
使者が持って来た書が、間違って我が子奉先の所に届いたので、こいつを斬ったのだ。公らには関係ないので、驚き恐れる必要はないぞ。」と言うと、
百官はそうですそうですと言ってから解散しました。
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司徒の王允は府の中に帰りましたが、今日の宴席であった事を思うと、座っても安心して席にいられませんでした。
深夜となり月が明るくなると、杖をつき歩いて後園に入り、荼?の棚の側に立ち、天を仰ぎ涙を流しました。
突然人が牡丹亭の畔で、嘆息して已まないのが聞こえました。
王允が密かに歩いて窺ってみると、彼女こそ府の中の歌妓の貂蝉でした。
この娘は幼い時選ばれて府の中に入り、歌舞を教えられ、年はちょうど二八で、
器量も技芸も共に素晴らしく、王允は実の娘のように彼女を待遇しておりました。
司徒の王允は府の中に帰りましたが、今日の宴席であった事を思うと、座っても安心して席にいられませんでした。
深夜となり月が明るくなると、杖をつき歩いて後園に入り、荼?の棚の側に立ち、天を仰ぎ涙を流しました。
突然人が牡丹亭の畔で、嘆息して已まないのが聞こえました。
王允が密かに歩いて窺ってみると、彼女こそ府の中の歌妓の貂蝉でした。
この娘は幼い時選ばれて府の中に入り、歌舞を教えられ、年はちょうど二八で、
器量も技芸も共に素晴らしく、王允は実の娘のように彼女を待遇しておりました。
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この夜王允は嘆くのを久しく聞いてから、
「卑しい奴め、色情であるのか?」と叱ったので、
貂蝉は驚いて跪きながら
「卑しき妾にどうして色情などありましょうか!」と答えました。
王允が「色情がないのなら、どうして夜更けに長嘆していたのだ?」と言うと、
貂蝉は「妾の伸肺腑の言葉を聞いてください。」と言ったので、
王允は「お前は隠すでないぞ。本当の事を私に告げるのだ。」と言うと、
貂蝉は「妾は大人の恩養を被り、歌舞を練習させていただき、礼遇されているので、妾が身を粉にし骨を砕いても、万に一つも報いられません。
近頃大人が両眉をひそめて憂いているのを見て、必ず国家の大事があると思いましたが、敢えて問いませんでした。
今晩もまた歩くも座るも不安そうなのを見て、ここで長嘆していると、思わぬことに大人に見られておりました。
もし妾を用いられるのなら、万死といえども辞しません。」と言ったので、
王允は杖で地面を撃ちながら「誰が漢の天下がお前の手中にあると想像出来たであろうか!私について楼閣の中に来るのだ。」と言いました。
この夜王允は嘆くのを久しく聞いてから、
「卑しい奴め、色情であるのか?」と叱ったので、
貂蝉は驚いて跪きながら
「卑しき妾にどうして色情などありましょうか!」と答えました。
王允が「色情がないのなら、どうして夜更けに長嘆していたのだ?」と言うと、
貂蝉は「妾の伸肺腑の言葉を聞いてください。」と言ったので、
王允は「お前は隠すでないぞ。本当の事を私に告げるのだ。」と言うと、
貂蝉は「妾は大人の恩養を被り、歌舞を練習させていただき、礼遇されているので、妾が身を粉にし骨を砕いても、万に一つも報いられません。
近頃大人が両眉をひそめて憂いているのを見て、必ず国家の大事があると思いましたが、敢えて問いませんでした。
今晩もまた歩くも座るも不安そうなのを見て、ここで長嘆していると、思わぬことに大人に見られておりました。
もし妾を用いられるのなら、万死といえども辞しません。」と言ったので、
王允は杖で地面を撃ちながら「誰が漢の天下がお前の手中にあると想像出来たであろうか!私について楼閣の中に来るのだ。」と言いました。
◆
貂蝉が王允と共に閣の中に到ると、王允は女中や妾をことごとく叱って退出させ、貂蝉を座に着け、叩頭して拝みました。
貂蝉が驚いて地に伏せながら「大人は何故そのようになさるのですか?」と言うと、
王允は「お前は大漢の天下の生ける人々を憐れんでくれ!」と言い、言い終えると、涙を泉が湧くように流しました。
貂蝉は「先程卑しき妾は言いましたが、命令があれば、万死といえども辞しません。」と言いました。
貂蝉が王允と共に閣の中に到ると、王允は女中や妾をことごとく叱って退出させ、貂蝉を座に着け、叩頭して拝みました。
貂蝉が驚いて地に伏せながら「大人は何故そのようになさるのですか?」と言うと、
王允は「お前は大漢の天下の生ける人々を憐れんでくれ!」と言い、言い終えると、涙を泉が湧くように流しました。
貂蝉は「先程卑しき妾は言いましたが、命令があれば、万死といえども辞しません。」と言いました。
◆
王允は跪きながら「百姓は倒懸の危うきにあり、君臣は累卵の急にあり、お前でなければ救えない。
賊臣董卓は、帝位を簒奪しようとし、朝廷の文武百官は、施せる計がない。
董卓には一人の義理の息子がいて、姓を呂、名を布といい、驍勇は普通ではない。
私が見るにこの二人は共に好色な輩なので、今連環の計を用い、先にお前を呂布の許嫁とし、後に董卓に献上し、
お前に間で工作させ、彼ら父子を謀って反目させ、布に卓を殺させれば、巨悪は絶てる。
社稷を助け、江山を立て直すのは、皆お前の力にかかっている。お前の考えはどうだ?」と言ったので、
貂蝉は「妾は大人のためなら万死も辞さないので、ただちに妾を彼らに献じてください。妾には考えがあります。」と言いました。
王允が「事がもし漏れれば、我が一門は滅ぶぞ。」と言うと、
貂蝉は「大人は憂いないでください。妾がもし大義に報いられねば、万の刃の下で死ぬだけです。」と言いました。
王允は跪きながら「百姓は倒懸の危うきにあり、君臣は累卵の急にあり、お前でなければ救えない。
賊臣董卓は、帝位を簒奪しようとし、朝廷の文武百官は、施せる計がない。
董卓には一人の義理の息子がいて、姓を呂、名を布といい、驍勇は普通ではない。
私が見るにこの二人は共に好色な輩なので、今連環の計を用い、先にお前を呂布の許嫁とし、後に董卓に献上し、
お前に間で工作させ、彼ら父子を謀って反目させ、布に卓を殺させれば、巨悪は絶てる。
社稷を助け、江山を立て直すのは、皆お前の力にかかっている。お前の考えはどうだ?」と言ったので、
貂蝉は「妾は大人のためなら万死も辞さないので、ただちに妾を彼らに献じてください。妾には考えがあります。」と言いました。
王允が「事がもし漏れれば、我が一門は滅ぶぞ。」と言うと、
貂蝉は「大人は憂いないでください。妾がもし大義に報いられねば、万の刃の下で死ぬだけです。」と言いました。
◆
王允は拝んで感謝しました。
次の日、すぐさま家宝の真珠数粒を持ち、腕のいい匠に嵌め込ませて金冠を一つ造り、人を遣わして密かに呂布に送りました。
呂布は大いに喜び、自ら王允の宅に感謝しに行きました。
王允は美食を用意し、呂布が来るのを待つと、自ら門を出て迎え、後堂に入れ、上座につかせました。
呂布が「呂布はそれこそ相府の一将で、司徒は朝廷の大臣なのに、何故間違って敬われるのですか?」と言うと、
王允は「今天下には別の英雄はおらず、ただ将軍がいるだけです。允は将軍の官職を敬っているのではなく、将軍の才を敬っているのです。」と言ったので、
呂布は大いに喜びました。
王允は慇懃に酒を勧め、口で董太師並びに呂布の徳を言い続けました。呂布は大いに笑って呑気に飲みました。
王允は周りの者を叱って退かせ、妾数人だけを留めて酒を勧めさせました。
王允は拝んで感謝しました。
次の日、すぐさま家宝の真珠数粒を持ち、腕のいい匠に嵌め込ませて金冠を一つ造り、人を遣わして密かに呂布に送りました。
呂布は大いに喜び、自ら王允の宅に感謝しに行きました。
王允は美食を用意し、呂布が来るのを待つと、自ら門を出て迎え、後堂に入れ、上座につかせました。
呂布が「呂布はそれこそ相府の一将で、司徒は朝廷の大臣なのに、何故間違って敬われるのですか?」と言うと、
王允は「今天下には別の英雄はおらず、ただ将軍がいるだけです。允は将軍の官職を敬っているのではなく、将軍の才を敬っているのです。」と言ったので、
呂布は大いに喜びました。
王允は慇懃に酒を勧め、口で董太師並びに呂布の徳を言い続けました。呂布は大いに笑って呑気に飲みました。
王允は周りの者を叱って退かせ、妾数人だけを留めて酒を勧めさせました。
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酒宴が半ばたけなわになると、王允は「子を呼んでこい。」と言いました。
少しした頃、二人の青い衣を着た者が艶やかな装いをした貂蝉を引き連れて出てきました。
呂布は驚いて誰かと問いました。
王允は「娘の貂蝉です。允は将軍から過分な寵愛を受け、関係は肉親と異なりませんので、ゆえに将軍に相見えさせたのです。」と言い、
ただちに貂蝉に命じ呂布に杯を捧げさせました。
貂蝉は酒を呂布に渡すと、色目を使いました。
王允は酔ったふりをして「子は将軍に何杯も痛飲してもらいなさい。我が一家は全て将軍が頼りなのだ。」と言いました。
呂布が貂蝉を座らせると、貂蝉は奥に入るふりをしました。
王允は「将軍は私の親友なのに、子が座って何の妨げになる?」と言ったので、貂蝉は王允の側に座りました。
酒宴が半ばたけなわになると、王允は「子を呼んでこい。」と言いました。
少しした頃、二人の青い衣を着た者が艶やかな装いをした貂蝉を引き連れて出てきました。
呂布は驚いて誰かと問いました。
王允は「娘の貂蝉です。允は将軍から過分な寵愛を受け、関係は肉親と異なりませんので、ゆえに将軍に相見えさせたのです。」と言い、
ただちに貂蝉に命じ呂布に杯を捧げさせました。
貂蝉は酒を呂布に渡すと、色目を使いました。
王允は酔ったふりをして「子は将軍に何杯も痛飲してもらいなさい。我が一家は全て将軍が頼りなのだ。」と言いました。
呂布が貂蝉を座らせると、貂蝉は奥に入るふりをしました。
王允は「将軍は私の親友なのに、子が座って何の妨げになる?」と言ったので、貂蝉は王允の側に座りました。
◆
呂布は目を動かさず見ておりました。
また数杯飲むと、王允は貂蝉を指差して呂布に「私はこの娘を将軍に送って妾としてもらいたいのですが、受け入れてくださいますか?」と言ったので、
呂布は席を立って「もしそうしていただけるのなら、布は犬馬の労を尽くして報いましょう。」と感謝しました。
王允が「早?吉日を選び、府の中に送りましょう。」と言うと、
呂布は喜ぶこと限りなく、頻繁に目で貂蝉を見ました。
貂蝉もまた色目で情を伝えました。
少しした頃宴席が解散となると、王允は「本来なら将軍を留めてお泊まりになっていただきたいのですが、太師に疑われる恐れがあります。」と言いました。
呂布は再三拝んで感謝してから帰りました。
呂布は目を動かさず見ておりました。
また数杯飲むと、王允は貂蝉を指差して呂布に「私はこの娘を将軍に送って妾としてもらいたいのですが、受け入れてくださいますか?」と言ったので、
呂布は席を立って「もしそうしていただけるのなら、布は犬馬の労を尽くして報いましょう。」と感謝しました。
王允が「早?吉日を選び、府の中に送りましょう。」と言うと、
呂布は喜ぶこと限りなく、頻繁に目で貂蝉を見ました。
貂蝉もまた色目で情を伝えました。
少しした頃宴席が解散となると、王允は「本来なら将軍を留めてお泊まりになっていただきたいのですが、太師に疑われる恐れがあります。」と言いました。
呂布は再三拝んで感謝してから帰りました。
◆
数日が過ぎると、王允は朝堂で、董卓に会ったので、呂布が側にいない隙に、
地に拝み伏して「允は太師車騎に、拙家に赴いていただき酒宴を開きたいのですが、ご意志はいかがでしょうか?」と言いました。
董卓は「司徒の招きなら、すぐに赴こう。」と言ったので、王允は拝んで感謝してから家に帰り、水陸の珍味を並べ、表座敷の中央に座を設け、
錦と刺繍を施した織物を地に敷き詰め、内外に各々幔幕を設けました。
数日が過ぎると、王允は朝堂で、董卓に会ったので、呂布が側にいない隙に、
地に拝み伏して「允は太師車騎に、拙家に赴いていただき酒宴を開きたいのですが、ご意志はいかがでしょうか?」と言いました。
董卓は「司徒の招きなら、すぐに赴こう。」と言ったので、王允は拝んで感謝してから家に帰り、水陸の珍味を並べ、表座敷の中央に座を設け、
錦と刺繍を施した織物を地に敷き詰め、内外に各々幔幕を設けました。
◆
次の日の正午、董卓がやって来ました。
王允は朝服を着て出迎え、再拝して機嫌を伺いました。
董卓は車を下りると、左右に戟を持った武装兵百余りに、囲まれて堂に入り、両側に分けて並ばせました。
王允が堂の下で再拝すると、董卓は上に入れ、側に座らせました。
王允が「太師の盛んな徳は高々とし、伊、周でも及びません。」と言うと、董卓は大いに喜びました。
酒を進呈して楽しみを作り、王允は極めて敬いました。
次の日の正午、董卓がやって来ました。
王允は朝服を着て出迎え、再拝して機嫌を伺いました。
董卓は車を下りると、左右に戟を持った武装兵百余りに、囲まれて堂に入り、両側に分けて並ばせました。
王允が堂の下で再拝すると、董卓は上に入れ、側に座らせました。
王允が「太師の盛んな徳は高々とし、伊、周でも及びません。」と言うと、董卓は大いに喜びました。
酒を進呈して楽しみを作り、王允は極めて敬いました。
◆
?になり酒宴もたけなわとなると、王允は董卓に後堂に入るよう請いました。
董卓は武装兵を叱って退出させました。
王允が杯を捧げて「允は幼いときからいささか天文を習っておりましたが、夜天文を見ると、漢家の気数はすでに尽きております。
太師の功と徳は天下に振るっておられるので、舜が堯を受け継ぎ、禹が舜を受け継いだのに倣えば、まさに天の心と人の意に合致いたします。」と慶賀すると、
董卓は「どうしてそれを望めようか!」と言ったので、
王允は「古より『有道は無道を伐ち、無徳は有徳に譲る』といいますが、どうして過分といえましょうか?」と言うと、
董卓は笑って「もし果たして天命が私に帰せば、司徒はまさに元勲だな。」と言ったので、王允は拝んで感謝しました。
?になり酒宴もたけなわとなると、王允は董卓に後堂に入るよう請いました。
董卓は武装兵を叱って退出させました。
王允が杯を捧げて「允は幼いときからいささか天文を習っておりましたが、夜天文を見ると、漢家の気数はすでに尽きております。
太師の功と徳は天下に振るっておられるので、舜が堯を受け継ぎ、禹が舜を受け継いだのに倣えば、まさに天の心と人の意に合致いたします。」と慶賀すると、
董卓は「どうしてそれを望めようか!」と言ったので、
王允は「古より『有道は無道を伐ち、無徳は有徳に譲る』といいますが、どうして過分といえましょうか?」と言うと、
董卓は笑って「もし果たして天命が私に帰せば、司徒はまさに元勲だな。」と言ったので、王允は拝んで感謝しました。
◆
堂の中に燭台を灯し、女だけを留めて酒食を進呈させました。
王允が「教坊の音楽は、奉るには足りないでしょう。たまたま家妓がおりますので、聞いてください。」と言うと、
董卓は「それは絶妙だな。」と言いました。
王允が簾を下ろさせると、笙が流れ、貂蝉が人に囲まれて簾の外で舞いました。
それを称賛した詞にいいますには、
もとこれ昭陽宮裏の人、驚く鴻のように転ずる掌中の身、ひとえに疑う飛んで洞庭の春を過ぐるを。
梁州を奏で終えて蓮歩穏やかに、良き花は風に靡き一枝新たなり、画堂は香暖かにして春に堪えず。
また詩にいいますには、
紅の牙板は拍を促して燕は飛ぶに忙しく、一片の行雲は画堂に到る。
眉をひそめて旅人の恨みを成し、顔は初めて断つ古人の腸。
銭では買えず千金の笑い、柳腰は何ぞもちいん百宝の装い。
舞い終わり簾を隔てて密かに目を送れば、知らず誰かこれ楚の襄王なるを。
堂の中に燭台を灯し、女だけを留めて酒食を進呈させました。
王允が「教坊の音楽は、奉るには足りないでしょう。たまたま家妓がおりますので、聞いてください。」と言うと、
董卓は「それは絶妙だな。」と言いました。
王允が簾を下ろさせると、笙が流れ、貂蝉が人に囲まれて簾の外で舞いました。
それを称賛した詞にいいますには、
もとこれ昭陽宮裏の人、驚く鴻のように転ずる掌中の身、ひとえに疑う飛んで洞庭の春を過ぐるを。
梁州を奏で終えて蓮歩穏やかに、良き花は風に靡き一枝新たなり、画堂は香暖かにして春に堪えず。
また詩にいいますには、
紅の牙板は拍を促して燕は飛ぶに忙しく、一片の行雲は画堂に到る。
眉をひそめて旅人の恨みを成し、顔は初めて断つ古人の腸。
銭では買えず千金の笑い、柳腰は何ぞもちいん百宝の装い。
舞い終わり簾を隔てて密かに目を送れば、知らず誰かこれ楚の襄王なるを。
◆
舞いが終わると、董卓は近くに寄らせました。
貂蝉は簾の中に入り、深々と再拝しました。
董卓は貂蝉の顔が美しいのを見ると、ただちに「この女は誰だ?」と問うたので、
王允は「歌妓の貂蝉です。」と言いました。
董卓が「歌えるか?」と言うと、
王允は貂蝉に紫檀の拍子木を鳴らさせながら小さい声で一曲歌わせました。まさにこれは、
一点の桜桃は赤き唇を開き、二行の歯は陽春を吹く。
丁香の舌から鋼剣を吐き、斬るを願う奸邪乱国の臣。
董卓は称賛して已みませんでした。
舞いが終わると、董卓は近くに寄らせました。
貂蝉は簾の中に入り、深々と再拝しました。
董卓は貂蝉の顔が美しいのを見ると、ただちに「この女は誰だ?」と問うたので、
王允は「歌妓の貂蝉です。」と言いました。
董卓が「歌えるか?」と言うと、
王允は貂蝉に紫檀の拍子木を鳴らさせながら小さい声で一曲歌わせました。まさにこれは、
一点の桜桃は赤き唇を開き、二行の歯は陽春を吹く。
丁香の舌から鋼剣を吐き、斬るを願う奸邪乱国の臣。
董卓は称賛して已みませんでした。
◆
王允は貂蝉に杯を持たせました。
董卓が杯を持ちながら「年は幾つだ!」と問うと、
貂蝉は「賊妾はちょうど二八です。」と答えたので、
董卓は笑って「真に神仙の中の人だ!」と言いました。
王允は起き立って「允はこの娘を太師に献上したいのですが、受け入れてくれますか?」と言ったので、
董卓は「そのような恵みを得たならばら、どのように報いればよいのだ?」と言うと、
王允は「この娘を太師に侍らせていただけたなら、その福は小さくごさいません。」と言ったので、董卓は再三感謝しました。
王允はすぐさま氈車を用意し、先に貂蝉を相府に送らせました。
董卓もまたを起こし別れを告げました。
王允は貂蝉に杯を持たせました。
董卓が杯を持ちながら「年は幾つだ!」と問うと、
貂蝉は「賊妾はちょうど二八です。」と答えたので、
董卓は笑って「真に神仙の中の人だ!」と言いました。
王允は起き立って「允はこの娘を太師に献上したいのですが、受け入れてくれますか?」と言ったので、
董卓は「そのような恵みを得たならばら、どのように報いればよいのだ?」と言うと、
王允は「この娘を太師に侍らせていただけたなら、その福は小さくごさいません。」と言ったので、董卓は再三感謝しました。
王允はすぐさま氈車を用意し、先に貂蝉を相府に送らせました。
董卓もまたを起こし別れを告げました。
◆
王允は自ら董卓を送ってそのまま相府に行き、その後に別れを告げて帰りました。
馬に乗って進むと、道半ばまで行かぬうちに、二行の紅の灯火が道を照らし、呂布が馬に乗り戟を持ってやって来て、
王允に正面から出くわすと、ただちに手綱を引いて馬を止め、衣の襟を掴み、
声を張り上げて「司徒はすでに貂蝉を私に許したのに、今また太師に送ったのは、どういった戯れですかな?」と問うたので、
王允は急いで制止して「ここでは話せないので、とりあえず拙家に来てください。」と言いました。
王允は自ら董卓を送ってそのまま相府に行き、その後に別れを告げて帰りました。
馬に乗って進むと、道半ばまで行かぬうちに、二行の紅の灯火が道を照らし、呂布が馬に乗り戟を持ってやって来て、
王允に正面から出くわすと、ただちに手綱を引いて馬を止め、衣の襟を掴み、
声を張り上げて「司徒はすでに貂蝉を私に許したのに、今また太師に送ったのは、どういった戯れですかな?」と問うたので、
王允は急いで制止して「ここでは話せないので、とりあえず拙家に来てください。」と言いました。
◆
呂布は王允と共に家に行くと、馬を下りて後堂に入りました。
礼を述べ終えると、王允は「将軍は何故老夫を怪しむのですか?」と言ったので、
呂布は「ある人が私に報せに来て、お前が氈車に乗せて貂蝉を送り相府に入れたと話したが、これはどういうわけだ?」と言うと、
王允は「将軍は元々知らなかったのですか!昨日太師は朝堂の中で、老夫に対し『私には一つ用事があるので、お前の家に行くぞ。』と話したので、允は準備し、太師を待ちました。
酒宴の間に『私はお前に一人の娘がいて、名を貂蝉と呼び、すでに我が子奉先に許したと聞いている。私はお前が準備していないのではないかと思い、わざわざ求めに来た。ついでに一見させるのだ。』と話したので、
老夫は敢えて違えられず、貂蝉を引き連れて舅殿に会わせました。
太師は『今日は吉日なので、私はすぐさまこの娘を連れて帰り、奉先に娶らせよう。』と言いました。
将軍は考えてください。太師が自らいらっしゃったのに、老夫がどうして阻めましょうか?」と言ったので、
呂布は「司徒は罪をお許しください。布は一時の誤りをしたので、明日自ら荊を背負ってまいります。」と言いました。
王允は「娘には少し嫁入り道具があるので、将軍の府下に行きましたら、ただちに送り届けます。」と言いました。
呂布は王允と共に家に行くと、馬を下りて後堂に入りました。
礼を述べ終えると、王允は「将軍は何故老夫を怪しむのですか?」と言ったので、
呂布は「ある人が私に報せに来て、お前が氈車に乗せて貂蝉を送り相府に入れたと話したが、これはどういうわけだ?」と言うと、
王允は「将軍は元々知らなかったのですか!昨日太師は朝堂の中で、老夫に対し『私には一つ用事があるので、お前の家に行くぞ。』と話したので、允は準備し、太師を待ちました。
酒宴の間に『私はお前に一人の娘がいて、名を貂蝉と呼び、すでに我が子奉先に許したと聞いている。私はお前が準備していないのではないかと思い、わざわざ求めに来た。ついでに一見させるのだ。』と話したので、
老夫は敢えて違えられず、貂蝉を引き連れて舅殿に会わせました。
太師は『今日は吉日なので、私はすぐさまこの娘を連れて帰り、奉先に娶らせよう。』と言いました。
将軍は考えてください。太師が自らいらっしゃったのに、老夫がどうして阻めましょうか?」と言ったので、
呂布は「司徒は罪をお許しください。布は一時の誤りをしたので、明日自ら荊を背負ってまいります。」と言いました。
王允は「娘には少し嫁入り道具があるので、将軍の府下に行きましたら、ただちに送り届けます。」と言いました。
>>501
太師は
『今日は吉日なので、私はすぐさまこの娘を連れて帰り、奉先に娶らせよう。』
と言いました。
将軍は考えてください。太師が自らいらっしゃったのに、
老夫がどうして阻めましょうか?」と言ったので、
ごめんここよくわかんない
太師は
『今日は吉日なので、私はすぐさまこの娘を連れて帰り、奉先に娶らせよう。』
と言いました。
将軍は考えてください。太師が自らいらっしゃったのに、
老夫がどうして阻めましょうか?」と言ったので、
ごめんここよくわかんない
>>506
太師(董卓)は
『今日は良い日なので、私はすぐさまこの娘(貂蝉)を連れて帰り、奉先(呂布)に娶らせよう。』
と言いました。
将軍(呂布)は考えてください。
太師(董卓)が自らいらっしゃったのに、
老夫(王允)がどうして拒否出来ましょうか?」
こんな感じ
太師(董卓)は
『今日は良い日なので、私はすぐさまこの娘(貂蝉)を連れて帰り、奉先(呂布)に娶らせよう。』
と言いました。
将軍(呂布)は考えてください。
太師(董卓)が自らいらっしゃったのに、
老夫(王允)がどうして拒否出来ましょうか?」
こんな感じ
◆
呂布は感謝して去りました。
次の日、呂布は府の中を探りましたが、消息はつかめませんでした。
呂布は真っ直ぐと堂の中に入ると、侍女や妾に尋ねました。
侍女や妾は「昨夜太師は新人と共に眠られ、今に至るまで起きてきません。」と答えたので、
呂布は大いに怒り、密かに董卓の寝室の後ろに行って探りを入れました。
この時貂蝉は起きて窓の下で頭をとかしておりましたが、突然窓の外の池の中に一人の影が映り、極めて長く大きく、頭には髮を束ねる冠を載せており、その人を盗み見ると、まさに呂布でした。
貂蝉はわざと二つの眉をひそめ、憂いて楽しくない様子をつくり、絹で頻繁に涙を拭うふりをしました。
呂布は久しく窺ってから、こうして出て、少しした頃、また入りました。
呂布は感謝して去りました。
次の日、呂布は府の中を探りましたが、消息はつかめませんでした。
呂布は真っ直ぐと堂の中に入ると、侍女や妾に尋ねました。
侍女や妾は「昨夜太師は新人と共に眠られ、今に至るまで起きてきません。」と答えたので、
呂布は大いに怒り、密かに董卓の寝室の後ろに行って探りを入れました。
この時貂蝉は起きて窓の下で頭をとかしておりましたが、突然窓の外の池の中に一人の影が映り、極めて長く大きく、頭には髮を束ねる冠を載せており、その人を盗み見ると、まさに呂布でした。
貂蝉はわざと二つの眉をひそめ、憂いて楽しくない様子をつくり、絹で頻繁に涙を拭うふりをしました。
呂布は久しく窺ってから、こうして出て、少しした頃、また入りました。
◆
董卓は中堂に座っておりましたが、呂布が来たのを見たので、「外は何事もないか?」と問うと、
呂布は「何もありません。」と言い、董卓の側に侍り立ちました。
董卓が食事をしている時、呂布が盗み見てみると、刺繍のされた簾の中で一人の女子が往来してはこちらを見ており、
顔を半分出し、目で情を送っているのが見えました。
呂布はそれが貂蝉だとわかると、精神が漂うような思いまでした。
董卓は呂布のこのような光景を見ると、心中疑い忌み「奉先は何事もなければしばらく退出せよ。」と言ったので、
呂布は不快になりながら出ていきました。
董卓は中堂に座っておりましたが、呂布が来たのを見たので、「外は何事もないか?」と問うと、
呂布は「何もありません。」と言い、董卓の側に侍り立ちました。
董卓が食事をしている時、呂布が盗み見てみると、刺繍のされた簾の中で一人の女子が往来してはこちらを見ており、
顔を半分出し、目で情を送っているのが見えました。
呂布はそれが貂蝉だとわかると、精神が漂うような思いまでした。
董卓は呂布のこのような光景を見ると、心中疑い忌み「奉先は何事もなければしばらく退出せよ。」と言ったので、
呂布は不快になりながら出ていきました。
◆
董卓は貂蝉を手に入れた後、色香に迷い、一月余りも外に出て政事を処理しなくなりました。
董卓がたまたま小さな病に罹ると、貂蝉は衣の帯も解かず、本意を曲げて迎合したため、董卓はますます喜びました。
呂布が中に入って様子を問いに行くと、董卓はちょうど寝ておりました。
貂蝉は床の後ろで半身を出して呂布を望み見ると、手で胸を指差し、また手で董卓を指差し、涙を流し続けました。
呂布は心が砕けるようでした。
董卓は朦朧とした両目で、呂布が床の後ろを注視し、目も動かさないでいるのを見たので、身体を回して見てみると、貂蝉が床の後ろに立っておりました。
董卓は大いに怒り、呂布を「お前は敢えて私の寵姫と戯れるというのか!」と叱り、
周りの者を呼んで追い出し、「今後から堂に入るのを許さぬ。」と言いました。
董卓は貂蝉を手に入れた後、色香に迷い、一月余りも外に出て政事を処理しなくなりました。
董卓がたまたま小さな病に罹ると、貂蝉は衣の帯も解かず、本意を曲げて迎合したため、董卓はますます喜びました。
呂布が中に入って様子を問いに行くと、董卓はちょうど寝ておりました。
貂蝉は床の後ろで半身を出して呂布を望み見ると、手で胸を指差し、また手で董卓を指差し、涙を流し続けました。
呂布は心が砕けるようでした。
董卓は朦朧とした両目で、呂布が床の後ろを注視し、目も動かさないでいるのを見たので、身体を回して見てみると、貂蝉が床の後ろに立っておりました。
董卓は大いに怒り、呂布を「お前は敢えて私の寵姫と戯れるというのか!」と叱り、
周りの者を呼んで追い出し、「今後から堂に入るのを許さぬ。」と言いました。
◆
呂布が怒り恨みながら帰ると、路で李儒に会ったので、その事を告げました。
李儒は急いで董卓に会って「太師は天下を取ろうとしておられるのに、何故小さな過ちで温侯を責められるのですか?もし彼が心変わりすれば、大事は去ります。」と言ったので、
董卓は「それならばどうすればよいか?」と言うと、
李儒は「明朝に呼び入れ、金や絹を賜り、良い言葉で慰めれば、自ずと何事もなくなりましょう。」と言ったので、
董卓はその言葉に従いました。
呂布が怒り恨みながら帰ると、路で李儒に会ったので、その事を告げました。
李儒は急いで董卓に会って「太師は天下を取ろうとしておられるのに、何故小さな過ちで温侯を責められるのですか?もし彼が心変わりすれば、大事は去ります。」と言ったので、
董卓は「それならばどうすればよいか?」と言うと、
李儒は「明朝に呼び入れ、金や絹を賜り、良い言葉で慰めれば、自ずと何事もなくなりましょう。」と言ったので、
董卓はその言葉に従いました。
◆
次の日、人に呂布を呼ばせて堂に入れ、彼に「私は昨日病で、精神が恍惚とし、誤ってお前を傷つけるような事を言ったが、お前は心に留めないでくれ。」と言い、
すぐさま金十斤、錦二十疋を賜りました。
呂布は感謝して帰りましたが、董卓の周りにいる時は、心で貂蝉の事を思っておりました。
次の日、人に呂布を呼ばせて堂に入れ、彼に「私は昨日病で、精神が恍惚とし、誤ってお前を傷つけるような事を言ったが、お前は心に留めないでくれ。」と言い、
すぐさま金十斤、錦二十疋を賜りました。
呂布は感謝して帰りましたが、董卓の周りにいる時は、心で貂蝉の事を思っておりました。
◆
董卓は病が癒えると、入朝して議事をするようになりました。
呂布は戟を持って従っておりましたが、董卓が献帝と共に談じているのを見ると、隙に乗じて戟を提げながら内門を出て、
馬に乗り真っ直ぐと相府に行き、馬を府の前に繋ぎ、戟を提げて後堂に入り、貂蝉を探しました。
貂蝉は「あなたは後園の中の鳳儀亭のそばで私を待っていてください。」と言ったので、
呂布は戟を提げて真っ直ぐと進み、亭の下の曲欄の傍らに立ちました。
董卓は病が癒えると、入朝して議事をするようになりました。
呂布は戟を持って従っておりましたが、董卓が献帝と共に談じているのを見ると、隙に乗じて戟を提げながら内門を出て、
馬に乗り真っ直ぐと相府に行き、馬を府の前に繋ぎ、戟を提げて後堂に入り、貂蝉を探しました。
貂蝉は「あなたは後園の中の鳳儀亭のそばで私を待っていてください。」と言ったので、
呂布は戟を提げて真っ直ぐと進み、亭の下の曲欄の傍らに立ちました。
◆
久しくすると、貂蝉が花をかきわけ柳を払いながらやって来ましたが、果たして月の宮殿の仙女のようで、
泣きながら呂布に「私は王司徒の肉親の娘ではありませんが、本当に産んだかのように待遇してくれました。
将軍と会い、妻妾として仕えるのを許され、妾は平生の願いが叶いました。
誰が太師が悪い心を起こし、妾を淫姦すると想像出来たでしょうか。
妾はすぐさま死ねなかったのを恨みましたが、将軍に別れを告げていないため、しばし恥を忍んで生きておりました。
今幸いにも相見えられたので、妾の願いは叶いました。
この身はすでに汚れており、ふたたび英雄に使える事は出来なくなったので、君の前で死に、妾の心を明らかにいたします!」と言いました。
久しくすると、貂蝉が花をかきわけ柳を払いながらやって来ましたが、果たして月の宮殿の仙女のようで、
泣きながら呂布に「私は王司徒の肉親の娘ではありませんが、本当に産んだかのように待遇してくれました。
将軍と会い、妻妾として仕えるのを許され、妾は平生の願いが叶いました。
誰が太師が悪い心を起こし、妾を淫姦すると想像出来たでしょうか。
妾はすぐさま死ねなかったのを恨みましたが、将軍に別れを告げていないため、しばし恥を忍んで生きておりました。
今幸いにも相見えられたので、妾の願いは叶いました。
この身はすでに汚れており、ふたたび英雄に使える事は出来なくなったので、君の前で死に、妾の心を明らかにいたします!」と言いました。
◆
言い終えると、手で曲欄を掴み、蓮の花が咲く池に向かって飛び込もうとしました。
呂布は慌てて抱き止め、泣きながら「私はお前の心を久しく知っていた!ただ恨めしくも共に語れなかったのだ!」と言いました。
貂蝉が手で呂布を引っ張りながら「妾は今生では君の妻になれませんが、来世ではそうなれるよう願います。」と言うと、
呂布は「私が今生でお前を妻に出来ねば、英雄とは言えぬ!」と言ったので、
貂蝉は「妾には一日が一年のようなので、君は憐れんで救ってください。」と言いました。
呂布が「私は今隙を見て来ているので、老賊に疑われぬよう、速やかに去らねばならない。」と言うと、
貂蝉は彼の衣を引っ張りながら「君がそのようにあの老賊を恐れているのなら、妾の身が日の目を見られる時は来ないでしょう!」と言ったので、
呂布は立ち止まって「私に良策を図る時間をくれ。」と言いました。
言い終えると、手で曲欄を掴み、蓮の花が咲く池に向かって飛び込もうとしました。
呂布は慌てて抱き止め、泣きながら「私はお前の心を久しく知っていた!ただ恨めしくも共に語れなかったのだ!」と言いました。
貂蝉が手で呂布を引っ張りながら「妾は今生では君の妻になれませんが、来世ではそうなれるよう願います。」と言うと、
呂布は「私が今生でお前を妻に出来ねば、英雄とは言えぬ!」と言ったので、
貂蝉は「妾には一日が一年のようなので、君は憐れんで救ってください。」と言いました。
呂布が「私は今隙を見て来ているので、老賊に疑われぬよう、速やかに去らねばならない。」と言うと、
貂蝉は彼の衣を引っ張りながら「君がそのようにあの老賊を恐れているのなら、妾の身が日の目を見られる時は来ないでしょう!」と言ったので、
呂布は立ち止まって「私に良策を図る時間をくれ。」と言いました。
◆
語り終えると、戟を提げて去ろうとしました。
貂蝉は「妾が奥深い部屋にいた時には、将軍の名前を聞くと、雷のように耳に入り、当世の一人だと思いましたが、誰が反対に他人に制されていると想像出来たでしょうか!」と言い、
言い終えると、涙を雨のように流しました。
呂布は顔いっぱいに羞恥し、ふたたび戟を立て掛け、振り返って貂蝉を抱き、良い言葉で慰めました。
二人は寄り添い、離れるのを忍べませんでした。
語り終えると、戟を提げて去ろうとしました。
貂蝉は「妾が奥深い部屋にいた時には、将軍の名前を聞くと、雷のように耳に入り、当世の一人だと思いましたが、誰が反対に他人に制されていると想像出来たでしょうか!」と言い、
言い終えると、涙を雨のように流しました。
呂布は顔いっぱいに羞恥し、ふたたび戟を立て掛け、振り返って貂蝉を抱き、良い言葉で慰めました。
二人は寄り添い、離れるのを忍べませんでした。
◆
さて董卓は殿の中におりましたが、頭を回らしても呂布が見えなかったため、心中に疑いを抱き、慌てて献帝に別れを告げ、
車に乗って府に帰ると、呂布の馬が府の前に繋がれていたため、門吏に問うと、
門吏は「温侯は後堂に入っていきました。」と答えました。
董卓は周りの者を叱って退かせ、真っ直ぐと後堂の中に入ると、呂布はいなかったため、貂蝉を呼びましたが、貂蝉もまたいませんでした。
急いで侍女や妾に問うと、侍女や妾は「貂蝉は後園で花を見ております。」と言いました。
さて董卓は殿の中におりましたが、頭を回らしても呂布が見えなかったため、心中に疑いを抱き、慌てて献帝に別れを告げ、
車に乗って府に帰ると、呂布の馬が府の前に繋がれていたため、門吏に問うと、
門吏は「温侯は後堂に入っていきました。」と答えました。
董卓は周りの者を叱って退かせ、真っ直ぐと後堂の中に入ると、呂布はいなかったため、貂蝉を呼びましたが、貂蝉もまたいませんでした。
急いで侍女や妾に問うと、侍女や妾は「貂蝉は後園で花を見ております。」と言いました。
◆
董卓が後園に入ってみると、ちょうど呂布と貂蝉が鳳儀亭の下で共に語らっており、画戟は側に立て掛けてありました。
董卓は怒り、大喝一声しました。
呂布は董卓が来たのを見ると、大いに驚き、身体を回してすぐさま逃げ出しました。
董卓は画戟を持ち、立てながら追いました。
呂布は走りが速く、董卓は肥満で追い付かなかったため、戟を投げて呂布を刺そうとしました。
呂布は戟を地面に打ち落としました。
董卓は戟を拾ってふたたび追いましたが、呂布はすでに遠くに逃げておりました。
董卓が追って園門から出ると、ある人が飛んで前に来て、董卓と胸をぶつけ合ったので、董卓は地面に倒れてしまいました。
董卓が後園に入ってみると、ちょうど呂布と貂蝉が鳳儀亭の下で共に語らっており、画戟は側に立て掛けてありました。
董卓は怒り、大喝一声しました。
呂布は董卓が来たのを見ると、大いに驚き、身体を回してすぐさま逃げ出しました。
董卓は画戟を持ち、立てながら追いました。
呂布は走りが速く、董卓は肥満で追い付かなかったため、戟を投げて呂布を刺そうとしました。
呂布は戟を地面に打ち落としました。
董卓は戟を拾ってふたたび追いましたが、呂布はすでに遠くに逃げておりました。
董卓が追って園門から出ると、ある人が飛んで前に来て、董卓と胸をぶつけ合ったので、董卓は地面に倒れてしまいました。
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