129: 名無し 2016/12/21(水)20:51:21 ID: ID:swk
1977年:フェラーリ312T2(ニキ・ラウダ)
昨年大事故で大やけどを負ったラウダやったけどこの年は完全復活
圧倒的に勝ちまくるという訳ではなかったけど安定してポイント稼いでたんや
312Tは75年のチャンピオンマシンでT2はその進化型
T2は76年途中から投入したマシンで77年も続投やった
元々の性能が高かったから速さもあるし、
熟成が進んでいたから信頼性もあったんやろなぁ

ちなこの年もF1日本GPが開催されたが、
クラッシュしたマシンがコース外へ飛んで行って、
立ち入り禁止場所で観戦していた観客を死なせてしまう事故が発生

海外であれば観客が悪いやんけで済んだかもしれんが、
今以上に認知度が低い競技やったから、
世間は変な方向で騒いでしまった

収益も良くなかったとかもあるかもしれんが、
そういう理由で77年で日本での開催は終了
次の開催は86年までおあずけや
130名無し 2016/12/21(水)20:54:11 ID: ID:swk
1977年は「ウィングカー」「ヴェンチュリカー」「グランドエフェクトカー」
と呼ばれるF1界に革命を起こすマシンが登場した年でもあった
ロータス78の登場や
細かい原理や理論は省くけど、マシン前後についているウィングに加えて、
車体横についているサイドポンツーンっていう箱の底面でも
ダウンフォースを発生させることに成功した

今までは「マシンの下に空気入れたら浮いてしまうンゴ」というのが常識やったが、
このマシンは車体の底に空気を取り込んで、地面と底面の隙間で空気を圧縮、
その後に思いっきり引き抜くことによって超強力なダウンフォースを発生させた

マシンがまるで路面に吸い付いているような感覚だったとかなんとか
投入された年はリタイヤが多くてチャンピオンは獲れなかったんやけど、
77年シーズンは
マリオ・アンドレッティが4勝、
グンナー・ニルソンが1勝して計5勝を飾ったで

これだけ書くとええことばかりやんというメリットしか見えてこないが、
諸刃の剣でもあった
速すぎるゆえの問題点もあったんやね
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140名無し 2016/12/21(水)23:00:09 ID: ID:8ud
>>130
兜虫や撞木鮫みたいな形になったんやね
>>130
車体が横に四角く膨れている部分でええんよね、サイドポンツーンって
>>140>>141
鼻先が細くなってウィングが目立つようになったから
シュモクザメにも見えるなぁ
ハンマーヘッドシャークの模型にF1のカラーリング施した展示物もあったはず
あながち間違った感想ではないで

せや
四角い箱がサイドポンツーン
その中の上の層にラジエターが入ってて
下の層でダウンフォース発生させる感じになっとる
1978年:ロータス79(マリオ・アンドレッティ)
前年に活躍したロータス78を進化させた新車が大暴れ
最初は旧型の78を使ってたんやけど、それでもフェラーリと対等に戦って、
79が投入されてからはロータスの一人勝ち状態
16戦中8勝はロータスで、そのうち7戦はマリオ・アンドレッティの勝利

速さの秘密を知りたくてライバルチームも色々研究してたんやけど、
車体の底面っていう見えない部分やから
見様見真似でパクるってのはなかなか難しかった

似たような仕組みを入れてきたチームはあったけど、
数年前から研究開発していたロータスにはまだまだ叶わなかった

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1566578136

ここでは簡単に書いて流すけど、ルノーがF1初のターボ車を参戦させた年やった
他の車は自然吸気っていう方法やったんやけど、
タービンの力を使ってエンジンの中に強制的に空気取り込みまくって
燃料もガバガバぶち込んで大パワー出したろっていう技術

60年代後半から頑張ってるDFVエンジン先輩もそろそろ厳しくなってきた頃
132名無し 2016/12/21(水)21:02:29 ID: ID:swk
1978年で紹介しておきたいマシンがもう一つ
ブラバムBT46-Bっていう通称「ファン・カー」や
シャパラルっていうアメリカのレーシングチームが
Can-amシリーズに参戦するマシンに使った技術をF1に応用した例や

68年にウィングが登場した時にも書いたけど、
マシンを下に押し付けるっていうダウンフォースはとても重要
この力を得るためには技術者は何でもする

登場してから10年経つウィングや、
ロータスの「グランドエフェクトカー」の欠点の一つとして、
原理上低速コーナーでは効果は発揮されにくい

速度に比例してダウンフォースが増すっていう仕組みやから、
低速コーナーではダウンフォースが少ないんやね
低速コーナーで速く走るにはどうればええんやろかっていうことで開発されたのが、
車の後ろにでっかい羽根車くっつけて、
換気扇と同じように空気を排出したろっていう発想

停車していてもエンジン吹かしてファンをぶん回すだけで空気が引き抜かれるから
それだけでダウンフォースが発生するという最強装置やね

投入されたレースで勝ってしまうんやけど、
「ウィングみたいにダウンフォース発生装置は動かしたらダメやで」
っていうレギュレーションもあってその1戦限りで禁止になった

設計者は
「冷却装置や!たまたまダウンフォース発生しちゃったかもしれんけど
 これは冷却装置!」
と言い張ったが、まぁ主張には無理があったし他のチームから文句出て禁止になった(そのレースは優勝として認められた)

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143名無し 2016/12/21(水)23:07:43 ID: ID:8ud
>>132
また出たシャパラル
にしても面白い発想やね
ファンをくっつけるなんて
まさになんでもありのレースらしい発想やわ
>>143
これがそのシャパラル2Jっていうマシンや

ブラバムのBT46-Bはエンジンから動力取り出してファンを回転させてたけど
このシャパラルは走行用エンジンとファンを回転させるエンジンに分かれてた

スノーモービル用のエンジンをファン回転用に載せていたんやって
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146名無し 2016/12/21(水)23:18:42 ID: ID:8ud
>>144
びっくりした
めっちゃ四角いししかもファンが二つ
失礼ながらお世辞にもかっこいいとは言えない造形のように見えるけど、
勝てばいいってレースなら形にはこだわらないのかな
>>146
まぁワイも美しいデザインだとは思ってないで
目標は優勝やからその為にはなんだってする人たちやからね

今F1以外に話を広げると収拾つかなくなってしまうから控えるけど
このアメリカのレースは珍車の宝庫とも言える
時代が古いのと日本語資料が少ないから解説難しいけど
ワイが知ってるだけでも数台物凄い形した車がある
この設計者はシーズン開始前にも「ラジエター無くしたろ!」という発想で
空気抵抗の元になるラジエター取っ払って、
特殊な素子をボディ表面に貼り付けて冷却する方法を試していたりする
(カラー写真の白い板)

理論的には上手くいくはずやったんやけど、
空気が流れるときには「境界層」っていう流れの膜みたいなのが
出来る関係で、思ったよりも冷却できんかったらしい
あとは貼り付ける素子の面積足らなかったとか

ロータスのようなグランドエフェクトカーにする設計では無かったから
上に書いたようなファンくっつけたり色々試行錯誤してたんやな

ここだけ書くとただの変なおじさんみたいになってしまうけど、
後にF1界最強と今でも言われるほど凄い車を発表する
10年後の話や
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134名無し 2016/12/21(水)21:09:45 ID: ID:swk
1979年:フェラーリ312T4(ジョディ・シェクター)
ロータスが持ち込んできた技術を他のチームも本気で模倣してきた年や
本家ロータスは新車の開発に失敗して成績低迷
リジェ、ウィリアムズ、フェラーリ辺りが激しいチャンピオン争いしてたンゴ

少なくともこの3チームはウィングカー構造だったのは間違いない

昨年壊れまくってたターボ車のルノーも1勝したで
ターボ時代がすぐそこまで迫ってる
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145名無し 2016/12/21(水)23:16:43 ID: ID:8ud
>>134
とうとう他のチームの巻き返しか
そしてターボエンジンに変わる時代なんか
1980年:ウィリアムズFW07B・フォード(アラン・ジョーンズ)
80年代最初の年は比較的歴史の浅いウィリアムズが
ドライバー、コンストラクターズ共にチャンピオンを獲得や

見た目はロータス79に似てるんやけど、
07や07Bと呼ばれる方はそれよりも各部が進歩したマシンやった
同じく
グランドエフェクトカーのリジェやブラバム、
ターボパワーのルノーも速かった

バブル期のF1が大好きな人なら知らない人はいないであろう、
アラン・プロストやナイジェル・マンセルもこの年デビュー
世代交代が進んでいる
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136名無し 2016/12/21(水)21:15:09 ID: ID:swk
1981年:ブラバムBT49C・フォード(ネルソン・ピケ)
去年強かったウィリアムズとブラバムがチャンピオン争いする感じやった
リジェはDFVエンジンからマトラエンジンへ変更したが、
結果見る限りいまいちやったみたいやね
音は最高にええんやけど
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1566578323

この頃は運営団体が色々揉めてて、
レギュレーションの取り決めも混乱したりボイコットあったりして
混沌としていた時代や

その要因の一つとして、
大流行していた「ウィングカー」についての規則でも色々揉めてた
性能を最大限に発揮するためには、最低地上高を下げまくって、
サイドスカートっていうパーツを
地面と接触させて空気を外へ逃がさないようにする必要があった

これやとバッチリハマった時はめちゃくちゃダウンフォースが生まれるんやけど、
バランスを崩すといきなりマシンが浮き上がって
空を飛んでしまうという欠点があった

手法が過激になりすぎてしまったから抑制するために、
「最低地上高は60mmにせなアカンで」
「地面に擦りながら走るのはダメやで」っていう規則を設けたんやけど
シーズン中はこの規則の隙を付くチームも何チームかあって余計に大混乱

そのチームの一つがブラバムや
「最低地上高」っていうのを計測するのはレース前とレース後の車検や
つまりは走っている最中なら60㎜以下でもええんやろ?という解釈で
ハイドロニューマチックサスペンションっていう走行中に車高が下がって
走行後には車高が元に戻るシステムを開発

色々あったけど運営は「ええんやで」というジャッジを下して
他のチームは「走行中ならええんか」と手動で地上高を切り替える方法に変更

ロータスはツインシャーシっていうまた違った手法で参戦しようと思ったが
それについては「ダメです」と言われ参戦できず
145名無し 2016/12/21(水)23:16:43 ID: ID:8ud
>>136
なるほど
これが一昨日イッチが言った車体を地面すれすれにする必要性なんやね
にしても狡い
レース中だけ下がる技術なんて
>>145
普通そんな解釈するか?と言われてもおかしくない解釈の仕方なんやけど
主催者が定めてなかったからこれは運営側のミスやね
規則と技術者の戦いはいつの時代も同じや
>>147
ルールの盲点を突いた作戦はいつでもあるし、したもんがちなんよね
法律とかもこんなのが起こるし
このことを思いついた技術者、
そしてそれを実現させてしまった技術者にはうまくやったもんだと言いたくなるわ
1982年:ウィリアムズFW08・フォード(ケケ・ロズベルグ)
運営団体のいざこざ、速くなりすぎたウィングカー、色んな要因重なって
82年が一つの区切りとも言えるンゴ

ロズベルグが独り勝ちしたって訳ではなく、
全16戦あって優勝者数11名という超激戦の年やった
ちなロズベルグは1勝のみやったけどその他で堅実に走り王者に輝いた

この年はフェラーリのジル・ビルヌーブが死亡、
同じくフェラーリのディディエ・ピローニが大事故で引退、
オゼッラのリカルド・パレッティが死亡するという
ショッキングな出来事が続く年やった

上の3件全てがウィングカーのせいって訳ではないんやけど、
やはり速すぎるウィングカーは危ないからやめよう
って事になって「フラットボトム規定」が83年から施行されることになる

1566578414

138名無し 2016/12/21(水)21:22:24 ID: ID:swk
>>137
マシンが一斉にスタートする写真を見てもらえば分かると思うけど
何台かの車はフロントウィングをつけていない

これは何でかっていうと、マシンの床面でダウンフォースを発生させる構造上
なるべく整った気流をそのまんま床下へ導くために
フロントウィング取っ払って言う狙いと
そもそもダウンフォース足りてるからウィング要らんわっていう考えから来てる

成功はしなかったけどリアもフロントもウィング廃止して
マシン全体の形状だけでダウンフォース発生させたろって言う
マシンもあった
>>137
槌みたいな突起が消えたんやな

よりおもしろくなるいっぽうで速くなりすぎて危険度が増加するのも考えモノやな
規制は当然やろね
フラットボトム規定ってのは何や?
底面を平らにさせてサイドポンツーンの効果を減少させようとしたんやろか?
>>148
その通りやで
底面を平らにしてダウンフォースを減らしたんや

ダウンフォース減ったら危ないやんって思うかもしれんけど
そもそも危なくてゆっくりしかコーナー曲がれなくなるから
不安定になって空飛んでく心配は少なくなる
(完全になくなるとは言っていない)
カーボンモノコックの紹介するの忘れてたンゴ・・・

今まではアルミ板(厳密にはちょっと違うけど)を折り曲げた
モノコック構造の車体やったんやけど
81年にマクラーレンがカーボンファイバーっていう
炭素繊維を編み込んだ素材でモノコック構造の車体を作った

利点としてはめっちゃ軽いのにめっちゃ強い

カーボンは以前にも部分的には使われていたけどマクラーレンMP4/1っていう車が
初めて車体に使用した

2016年現在もカーボンファイバーが使われてるで
1566578441

1566578442

黒いほうがカーボン
シルバーのほうが旧式のアルミ
152名無し 2016/12/21(水)23:32:04 ID: ID:8ud
>>151
言葉の通りの規定なんやね
でも空飛んでく心配がなくなったわけではないってことは、
これ以降もそうした事故が起こるんかな
>>152
ネタバレみたいになってしまうが
1982年を最後に94年までは死亡事故は起きていないで
フラットボトムになってコーナー遅くなったとは言っても
エンジンパワーは年々増加するし
タイヤやサスペンションの性能も向上しとるからそれでもマシンは速くなる一方や

スピンしたり前の車に乗り上げれば飛んでしまうときは飛んでしまう

でも153に書いたような新しい発明で安全性も高まっていくんや
>>154
安全性を高める技術も開発されるのはいい進歩やね
ワイの質問・感想はもうないで
イッチ今日もいろいろありがとう


>>153
カーボンファイバーってたしかめっちゃ硬いんよね
1974・76年のチャンピオンが作ったんか
ってことはこれ以降マクラーレンも巻き返すのかな
>>155
有能な技術者がおったからね
暫く他のチームに隠れてたけどもう少ししたら黄金時代が訪れる

とはいえ他のチームも当たり前のようにカーボンモノコックに切り替えてくるし
その他新しいエンジンが登場したりしてエンジン競争が過熱する

それと同時に60年代後半から続いていたDFVエンジン時代の終焉や
明日も書く予定やが88年まで到達できるかは分からん
あまりにもネタが多すぎるもんでな

明日はF1フラットボトム規定元年の83年からターボ時代終焉の88年までやる予定
たった6シーズンやけど中身濃すぎて何書くか迷うで
>>158
サンキューガッツ
ほなまた
70年代はスーパーカーブームでそれに乗っかったアニメも色々あった
「マシンハヤブサ」とか「グランプリの鷹」とか…

グランプリの鷹には「轟スペシャル」なるモンスターマシン()が出て来るぞ
>>160
本編見たことはないんやけど明らかに6輪車に影響されてるマシンあるよな
タイヤ増やしまくりで草





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